農業的発想と林業的発想。

 起業するときあるお年寄りの方から、懇々と言われたことがある。
 数億円のお金を俺に預けた上での話である。
 「私が君の話しに乗ろうと決めたのは、君が最初においしい話じゃありません、
  下手すりゃ、出資金ドブに捨てるかも知れません。でも暮らしている人たちには
  必要な仕事なんです。と言ったからだ。」と言われた。
 「林業では杉の苗木を植え、下草を刈り、枝打ちをし、その繰り返しを何十年も・・。
 そうやって杉が市場に出るのは早くて100年後、いい杉だと200年はかかる。
 自分が植えた杉で作った建物は見ることが出来ない。でもな、その建物に使われた杉
 の木を選んでよかった、とあとあと思われることが大事なんだよ。
 稲作のようにたかが1年で豊作です、万歳!とか不作ですガッカリとか、そういうも
 のじゃ無いと、思う。君がやろうとしていることは。」と言われた。

 それを肝に銘じ、もう亡くなって5年、小学校しか出ていない方でしたが、
 すばらしい人物でした。