記憶の不意打ちにあい。

hananohideji2007-01-17


あの白い谷のエメラルドグリーンの川の流れ、ブナの森に鳴き響き渡るセミの声。夕まずめ、水の中を黒い影が走り、グラスホッパードライフライに襲い掛かる一瞬。

マッチ・ザ・ハッチ、スラックがかかっていたラインは真っ直ぐに伸び岩魚の烈しい走りにあわせ川面を移動する。
ようやく手元に獲物が引き寄せられた。
ロッドを持つ手の感触、リリースする皮膚の知覚。
鮮明にあの時の雲の流れ、サーモンピンクの空の色、風にそよぐ葉のこすれあう音を思い出しては至福の時を過ごす。
バーボンのグラスの縁をなめながら、バイスに新たなフックを締め付ける。

冬の夜にも、釣果はあるのだ。